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週末の午後、湯沸かし器の音が静かに響く。
白桃烏龍茶の葉をお湯にそっと落とすと、ふわりと甘い桃の香りが立ち上ってくる。
一口飲むと、ほんのり優しい甘さと烏龍茶のコクが、疲れた心をじんわりとほどいていく。
そんな白桃烏龍茶を淹れたティーカップを横に置きながら、
私はのんびりとSwitchを手に取る。
パルデアのテラレイドバトルに参加する時間だ。
レイドは正直、あまり上手くない。
タイミングを間違えて回復が遅れたり、うっかり攻撃を被ったり……。
でも、いのちのしずくで仲間を癒やしたり、コーチングでみんなの背中をそっと押せたときの嬉しさといったらない。
「今日はちょっと上手くいったかも」と小さな達成感に浸りながら、
白桃烏龍茶の香りに包まれていると、なんだか本当にのんびりとした幸せな時間が流れていく。
画面の中で軽やかに宙を舞う、小さなピンク色の幻。
それが、私のミュウだ。
2005年の夏、劇場版『ミュウと波導の勇者ルカリオ』の映画館。
高校生くらいだった私は、子どもたちに混ざって配布データを受け取ることに少し気恥ずかしさを感じながらも、どうしても欲しかった。
ゲームボーイアドバンスの小さな画面に、ミュウが現れた瞬間の輝きを今でも鮮やかに覚えている。
当時はインターネット配布などなく、映画館まで足を運んで、特別な空気の中で受け取る「体験」そのものが宝物だった。
あのときの胸の高鳴りを、時々思い出す。
方向音痴の私が、たった一匹の幻を追いかけて遠くの映画館まで行けたなんて、今考えると少し笑ってしまう。
もっと幼い頃、初代『赤・緑』が発売された時代。
ミュウはコロコロコミックや限られたイベントでしか出会えない、本物の「幻」だった。
地方に住む子どもだった私は、東京のきらびやかな会場に行くことなどできず、
ただ誌面を眺めては、胸の奥でどんどん大きく、美しく育てていった。
手に入らないからこそ、憧れはロマンになった。
あの長い「届かない時間」が、今のこのブログの、優しい原点になってくれたのかもしれない。
映画館で出会った小さなミュウは、
それから20年以上、私と一緒に旅を続けてきた。
– ゲームボーイアドバンスで受け取ったハドウミュウ
– DSのパルパークで再会
– 3DSのポケシフターとポケモンバンク
– SwitchのポケモンHOMEを経てパルデアへ
ハードが変わるたび、
「もし消えてしまったらどうしよう」と胸がざわついた。
画面を閉じる指が少し重くなって、
祈るような気持ちで待っていた夜もあった。
四つのハードを越えた静かな旅路。
それはミュウの旅であると同時に、私の人生の歩みでもあったのだと思う。

今、ミュウはパルデアのテラレイドバトルで現役として活躍してくれている。
私は昔から、アタッカーとして目立つより、仲間を支える役割が好きだ。
いのちのしずくで傷ついた仲間を癒やし、コーチングでそっと背中を押す。
その優しい立ち回りが、私の心と不思議と重なる。
何より、2005年から変わらない「すなお」という性格を、
そのまま愛おしく思っている。
不器用で、まっすぐで、だからこそ愛おしい。
20年という時間の堆積が、彼女の魅力になっている気がする。
白桃烏龍茶の甘い香りに包まれながら、
画面の中のミュウを見つめていると、
かつては遠い世界の幻だった存在が、
今は静かに日常の一部になっていることを実感する。
あの頃、叶わなかった小さな私へ、そっと伝えたい。
「あなたの憧れは、ちゃんと未来まで届いているよ」と。

思い出は、綺麗な箱にしまって終わりではない。
あの夏に感じたときめきを、今を生きる温かな力に変えるために、
私はこうして言葉を紡いでいる。
白桃烏龍茶の最後の一口を飲み干す。
じんわりと身体が温まるのを感じながら、
さあ、またミュウと一緒に、次のレイドの待つ結晶の元へ向かおう。
20年越しの旅は、今夜もまだ、静かに続いている。
未来のことは分からない。
けれど、それでいいのだと思う。
四季お楽しみいただきありがとうございました
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