ミュウと白桃烏龍茶|20年越しの憧れは、今も隣を歩いている

画面の中で軽やかに宙を舞っているのは、小さなピンク色の幻、ミュウ。

このミュウは、2005年に映画館で受け取った、あの懐かしい「ハドウのミュウ」だ。

そして驚くことに、20年以上が経った今でも、彼女はパルデア地方のテラレイドバトルで現役のパーティメンバーとして戦い続けている。

過去の綺麗な思い出として、ボックスの奥にしまい込んでいるのではない。

20年近く前、遠い日の私が手を伸ばした「憧れ」は、今もこうして私の暮らしのすぐ隣を歩いている。

目次

あの夏、映画館の暗闇で出会った小さな奇跡

時計の針を、2005年の夏へと少しだけ巻き戻してみる。

劇場版ポケットモンスター『ミュウと波導の勇者ルカリオ』のスクリーンの前。

当時、高校生くらいになっていた私は、周囲の小さな子どもたちに混ざって配布データを受け取ることに、ほんの少しだけ気恥ずかしさを感じていた。

それでも、どうしても会いたかった。

ゲームボーイアドバンスの画面に、私のミュウがやってきてくれたあの瞬間の画面の輝きを、今でも鮮明に覚えている。

当時の配布ポケモンは、今のようにインターネットで簡単に受け取れるものではなかった。

その場所へ行き、その空間の空気を吸い、どこか厳かな気持ちで受け取る、特別な「体験」そのものだったのだ。

東京は遠く、会えなかった「最初の幻」への追憶

なぜ私がそれほどまでにミュウという存在に特別な憧れを抱いていたのかといえば、さらに幼い頃の、苦くて愛おしい記憶があったからだ。

初代『ポケットモンスター 赤・緑』が発売された頃、ミュウはコロコロコミックの誌面や、限られた展示会だけで出会える、文字通りの「幻」だった。

誌面で見る東京のきらびやかなイベント会場は、地方に住む子どもの私にとっては、宇宙のようにはるか遠い世界。

「行きたくても、どうしても行けない」

手に入らないからこそ、その存在は私の胸の奥で、どんどん美しく、大きなロマンへと育っていった。

会えなかったあの長い時間が、私の中に「思い出をずっと大切にする」という、今のこのブログの原点となる優しい苗床を作ってくれたのかもしれない。

ミュウと私が渡ってきた、長い旅路

映画館で出会った小さなミュウは、それから長い時間をかけて、私と一緒に旅を続けてきた。

ゲームボーイアドバンスで受け取った「ハドウミュウ」から始まり、
DSではパルパークを通じて再会し、
3DSではポケシフターとポケモンバンクを越え、
そしてSwitchではポケモンHOMEを通って、

パルデアの空気にたどり着いた。

ハードが変わるたびに、少しだけ胸がざわつく。
「もし消えてしまったらどうしよう」と、何度も祈るような気持ちで画面を見つめてたあの日。

画面を閉じる指が、ほんの少しだけ重かった。

それでも再会できるたびに、静かに胸をなでおろして、
「また次の地方でも、一緒に旅をしようね」と、そっと心の中で約束してきた。

気がつけばそれは、四つのハードをまたぐ、長くて静かな旅路になっていた。

振り返れば、それはミュウの旅路であると同時に、私自身の人生の歩みでもあったのだと思う。

そのまま、現在へと静かに時間がつながっていく。

あの夏に出会ったミュウは、今もこうして私の手元にいる。

[ステータス画面]

[キャプション]2005年に出会ったハドウミュウ。今も変わらず「すなお」な性格のまま、私の隣で旅を続けています。

「すなお」な彼女と、パルデアの放課後

現在のミュウは、パルデア地方のテラレイドバトルで、驚くほどの活躍を見せてくれている。

私は昔から、自分がアタッカーとして目立つよりも、仲間を支える役割の方が好きだった。

「いのちのしずく」で傷ついた仲間を癒やし、「コーチング」で周りの背中をそっと支える。

そんな彼女の優しい立ち回りは、私の心とも不思議なほど深く共鳴するのだ。

そして何より、2005年に出会ったあの日から、彼女の「すなお」という性格は一度も変えていない。

今やゲーム内の道具で簡単に性格の補正ができる時代だけれど、私はあの夏のままの彼女の個性を、そのまま愛していたい。

不器用で、すなおで、だからこそ愛おしい。それが、私と彼女が重ねてきた時間の証なのだから。

白桃烏龍茶の香りと、暮らしの中にいる憧れ

白桃烏龍茶は、今では一週間を終えた夜の、小さなご褒美になった。

ふわりと広がる桃の香りに息をほどきながら、隣にいるミュウへ視線を向ける。

かつては遠い世界の幻だった存在も、手に入らなかった憧れの味も、今では静かに日常へと溶け込んでいる。

あの日、届かなかった場所にいた小さな私へ、そっと伝えたくなる。

「あなたの憧れは、ちゃんと未来まで届いているよ」と。

おわりに|温かい一杯を飲み干して、また次の冒険へ

私たちは、思い出をただ綺麗な箱にしまって保存するために生きているのではない。

あの日もらったときめきを、今を生きるエネルギーに変えるために、記録を紡いでいる。

白桃烏龍茶が、私の身体をじんわりと温めていく。

さあ、最後の一口を飲み干したら、また彼女と一緒に、新しいレイドバトルの待つ結晶の元へ向かうとしよう。

20年越しの旅は、今夜もまだ、始まったばかりだ。

四季

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