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たい焼きを買うと、私はいつも少しだけ悩んでしまう。
つぶあんにするか、こしあんにするか。
最近はクリームたい焼きも増えていて、それもまた捨てがたい。
なかでも、こしあんのたい焼きは少し特別だ。見かける機会が少ないからこそ、お店で見つけると嬉しくなってしまう。
ポケモンで例えるなら、つぶあんが普通色のコイキングで、こしあんが色違いのコイキングだろうか。
どちらも魅力があって、甲乙つけがたい。
そんなことを考えていると、いつも一匹のポケモンを思い出す。
初代から最新作まで、ずっと私たちの隣を泳ぎ続けているコイキングを。
初めて出会ったコイキングは、怪しいおじさんから500円で買った一匹だった。
正直に言えば、少し騙された気分だった。
レベル5で、とにかく弱い。
はねるばかりで何もできない。
それでも、せっかく買ったのだからと意地になって育てていた。
そしてレベル20。
突然の進化。
モノクロのドット絵が何度も点滅し、気がつけば私は手を握りしめながら画面を見守っていた。
現れたのは、巨大なギャラドスだった。
「なんだか強そう」
子どもながらにそう思った。
そして実際、とても強かった。
けれど今振り返ると、あの時の思い出はギャラドスだけではない。
ボックスの奥にしまわれても、釣り竿を振ればまた現れる。
強くはないのに、なぜかどの地方にも必ずいる。
コイキングは昔から、私たちの旅路の背景にいたポケモンだったのかもしれない。
1999年。
『ポケットモンスター 金・銀』で世界はカラーになった。
ホウオウの羽が舞うオープニングを眺めながら、新しい冒険に胸を躍らせていた。
そして驚いた。
コイキングは赤かったのだ。
私はずっと、鯉だから黒っぽいものだと思っていた。
ところが画面の中で泳いでいたコイキングは鮮やかな赤色。
なんだか金魚みたいで、思わず笑ってしまった。
普通色のコイキングが赤いと知った時も驚いたけれど、さらに驚いたのが色違いの存在だった。
いかりのみずうみに現れる赤いギャラドス。
誰もが出会える特別な色違い。
今では当たり前になった色違い文化も、私にとってはあの赤いギャラドスから始まった記憶が強い。
2002年。
ゲームボーイアドバンスの『ルビー・サファイア』。
コイキングはフルカラーになった。
そして初めて動いた。
もちろん今から見れば小さな変化だ。
けれど当時の私には衝撃だった。
コイキングがはねる。
水面が揺れる。
影ができる。
それだけで感動していた。
今では当たり前の演出も、当時は未来のように見えていたのである。
DS時代になると、背景表現はさらに豊かになった。
ドット絵の親しみやすさはそのままに、世界はどんどん細やかになっていった。
そんな中で私が追いかけていたのが、プラチナのリゾートエリアにいるというレベル100のコイキングだった。
残念ながら私は釣ることができなかった。
けれどその話を聞いた時、なぜか少し嬉しかった。
レベル100なのにコイキング。
強くなることだけが価値ではないのだと、あの一匹はどこか楽しそうに教えてくれている気がした。
今でもパルデア地方で出会えるらしい。
いつかリベンジしてみたいと思っている。
3DSの時代。
コイキングはついに立体になった。
横になって地面の上を元気に跳ねている姿を見ていると、思わず心配になる。
「大丈夫かな」
そう思いながらも、相変わらずのマイペースさに頬がゆるんでしまう。
ちなみに専用Zワザの「Zはねる」は攻撃が大きく上がるのに何も起こらない。
なんともコイキングらしい技だと思う。
Switchになってから、私は初めて泳ぐコイキングを見た。
「コイキングが泳いでる……」
思わず声が漏れた。
ずっと釣り竿の先で出会う存在だったコイキングが、ちゃんと水の中を泳いでいる。
そんな当たり前のことに感動してしまった。
これでコイキングばかり釣れる生活ともお別れだ。
そう思ったのはここだけの秘密である。
けれど、地面で横に跳ねている姿も相変わらず残っていて、どこか安心した。
世界は変わっても、コイキングはちゃんとコイキングだった。
たい焼きを眺めていると、時々コイキングを思い出す。
香ばしい焼き色の普通色。
少し珍しい色違い。
つぶあんも、こしあんも、どちらも魅力的だ。
初代の白黒ドットから、Switchの水面を泳ぐ姿まで。
コイキングはいつも同じ顔で、私たちの隣を泳いだりはねたりしている。
変わり続けるポケモンの世界の中で。
その変わらなさが、なんだか少し嬉しい。
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