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OTHERS

お気に入りのマグを片手に、パルデアのボックスをのんびり眺める。 そこには、私と妹の、ポケモンに対する全く異なる「美学」の足跡がくっきりと残されている。
私の妹は、ポケモンに対してすこぶる独特なこだわりを持っている。 たとえば「フォッコに進化系は存在しない(あの初代の姿のままでいい)」と言い切るほどの、頑固で愛おしい美学の持ち主だ。
そんな彼女は、ネズミポケモンに対してもめっぽう厳しい。 世間であれほど「可愛い!」と大人気のデデンネに対しても、彼女の審美眼はシビアだ。「アンテナのような、あのひげのトゲトゲしたパーツが少し惜しい」などと漏らす。ひげの角度ひとつ、フォルムひとつ妥協しない。
だが、そんなポケモン審査員の彼女にも、どうしても譲れない、熱烈に偏愛する推しがいる。 それが「ライチュウ」だ。

妹はカントーのクラシカルなライチュウが一番好きだけれど、アローラのあのデフォルメ感が強い、波に乗るようなライチュウも捨てがたいという、贅沢な悩みを抱えていた。
そんなある日、私の『LEGENDS Z-A』の異次元ミアレにて、アローラライチュウの「当たり異次元」がひょっこり出現した。「色違いのアローラライチュウいる?」 画面越しに妹に聞いてみると、彼女は弾けたように目を輝かせた。
「いる!チョコレート色で可愛いよね!」
推しだからこそ、一瞬でそんな可愛い色名が口から飛び出してくるのだ。その初期衝動の愛を、私は全力で肯定したい。無事に彼女の元へ手渡したとき、妹が見せたあのとびきりの笑顔。それを見ているだけで、水面下でバタ足をして(お姉ちゃんがんばった!)ようやく掴み取った苦労も、すべてが甘い喜びに変わっていく。
推しポケモンがある暮らし、そしてそれを共有できる家族がいるというのは、なんていいものだろう。

しかし、その幸福な余韻の数日後。 たまたま私の前に、今度は色違いのデデンネが姿を現した。
焦げ茶色の、ころんとした小さな体。 私はまた妹に「いる?」と聞いてみた。すると、「いらない。泥遊びしたみたいな色だし」 容赦のない、バッサリとした一言が返ってきた。
興味のないポケモンに対しては、どこまでも冷静で厳しい妹。彼女の厳しい審査をパスしたポケモンたちは、ある意味で本当の超エリートなのだなと感心してしまう。
けれど、小さなアンティークやかご収納、手のひらに収まる小さなものをこよなく愛する私の「慈しみ」の視線は、その焦げ茶色の小さなデデンネを放っておけなかった。「大丈夫、可愛いよ」と、そっと自分のボックスに保護した。

妹の審査には落選してしまったけれど、この子はただ守られるだけの、か弱い存在ではない。 こう見えて、小さくてもレイドバトルで大活躍できるほどの、驚くべきパワーと器用さを秘めている。そのギャップが、たまらなく愛おしい。
妹にとってのライチュウが、王道で、とびきり分かりやすくて甘い「ミルクチョコレート」なら。 この色違いのデデンネは、私にとっての、噛めば噛むほどピリリとスパイシーな隠し味がする、特別な「小さなチョコレートちゃん」なのだ。
今日もボックスの隅で、その小さな焦げ茶色の体をきゅっきゅと揺らしているデデンネを見つめながら、私は紅茶を優しく一口、すする。
あなたの隣にいる大切な相棒にも、優しい風がふわりと吹きますように。 また次の街でお会いしましょう。
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